貸金業法は2006年(平成18年)12月20日に交付され、2010年(平成22年)6月18日より完全施行された法律で、その中に記載のある『総量規制』はお金の借り過ぎによって破綻したり、自殺してしまう人が増加した為、借り過ぎを防ぐ目的とされてます。
過度な借入れをしないように消費者を保護してくれますが、総量規制でお金を借りることができなくなる訳ではございません。
しっかりと理解すれば、ちゃんとお金を借りることはできますし、総量規制には例外が存在しますので、3分1の以上の借入れもできます。
そのような、総量規制の対象と対象外をわかりやすく、解説をいたします。
総量規制とは
そもそも、総量規制とは個人の借入れの総額が原則、年収の3分の1までに制限される規制のことです。
例えば、年収400万の人は、貸金業者からお金を借りる場合は120万までしか借りることができません。
また、新規で借入れをする場合に50万円を超える額を希望する場合、もしくは別で既に他社で借入れを含めた、総額の借入れ希望額が100万円を超える場合は収入証明書の提出も義務付けられております。
※収入の定義はこの後、説明いたします。
総量規制の対象となる借入れ
借入れ対して、貸付けする側には以下のうように4パターンの貸付方法がございます。
① 個人向け貸付け
② 個人向け保証
③ 法人向け貸付け
④ 法人向け保証
総量規制の対象となる貸付けは①の『個人向けの貸付』のみで、いわゆる貸金業者でございます。貸金業者とはお金の貸付けや貸し借りの仲介を行う業者のことを示します。
そして、貸金業を経営するものは内閣総理大臣または都道府県知事の許可を受け、登録しなければなりません。
個人向け貸金業者は以下の3つの分類に分けることが出来ます。いわゆるノンバンクです。
消費者金融
個人に現金をの直接貸付をメインに行う会社となります。消費者金の会社といえば、アコム・プロミス・アイフル・モビット・シンキ 等が上げられます。
クレジットカード会社
基本的にクレジットカード会社はクレジットカードや個別信用購入あっせんを専門に行う会社となります
信用会社といえば、JCB・三井住友カード、三菱UFJニコス、アメックス、ビューカード 等が上げられます。
信販会社
信販会社とは信用販売の略式で、割賦販売法第31条に定める「登録割賦購入あつせん業者」の会社となります。
貸金業法や銀行法の制限を受けない立替払い契約方式として消費者金融に近いサービスを展開してます。
かんたんに言うと、消費者金融は利子、信販会社は手数料として収益を上げております。
信用会社といえば、オリエントコーポレーション・ジャックス・セティナ・アプラス 等が上げられます。
総量規制対象外となる除外と例外
総量規制には、「除外」と「例外」の2つのパターンがあり、どちらも結果的に年収の3分の1を超えても借入れすることができます。
総量規制の除外
総量規制の除外とは、総量規制の対象とならない借入れの事をいいます。
例えば、不動産の購入目的の借入れや自動車購入時の自動車担保を利用した借入れ等は、総量規制の貸付残高には含まれません。
- 不動産購入または不動産に改良のための貸付け(住宅ローン、不動産ローン)
- 不動産担保貸付け(不動産担保ローン)
- 自動車購入時の自動車担保貸付け(自動車ローン)
- 高額療養費の貸付け(医療ローン)
- 有価証券担保貸付け
- 売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け
- 手形(融通手形を除く)の割引
- 金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け
- 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
※参照:施行規則第十条のニ十一第一項の各号
総量規制の例外
総量規制の例外とは、総量規制の対象となるが、返済能力があれば年収の3分の1を超えていても借入れできる事をいいます。
例えば、年収が360万円の人が、120万円を既に借入れている場合に、緊急な入院医療費(30万)が必要となった時に例外規定という形で借入れできる場合がございます。
- 顧客に一方的有利となる借換え(おまとめローン・借り換えローン等)
- 緊急の医療費の貸付け
- 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
- 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け(配偶者貸付)
- 個人事業者に対する貸付け(事業者ローン)
- 預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け
※参照:施行規則第十条の二十三第一項の各号
総量規制対象外のローン
上記、の総量規制の除外と例外のローン(3分1以上借りられるローン)を簡単にまとめで解説していきます。
不動産ローン
家(戸建て・マンション)や土地等の不動産の購入、家のリフォーム等の為のローンは総量規制の対象から除外されます。
また、土地購入費等の支払で金融機関から借入れするまでのつなぎ融資も除外されます。
土地や家を買う場合は数百から数千万はしますよね。もし、総量規制の対象なら、ほとんどの消費者がローンを組んで購入することができなくなる為、除外されるべきローンですね。
自動車ローン
自動車の購入は数十万~数百万単位の借入れですので、除外されます。また、自動車ローン場合は担保として所有権がローン会社での登録となり、支払いが完了するまでは名義変更ができず、ローン会社の持ち物となります。
また、有価証券担保貸付や不動産担保ローンも担保はあるものは基本的に総量規制から除外されます。
おまとめローン・借り換えローン(条件付き)
こちらは消費者が有利になる場合に適用されます。有利になるとは、金利が下がる、毎月の支払いが軽減される等です。
例えば、年収400万の方が合計120万円(消費者A:20万円、消費者金融P:50万円、消費者金融M:50万)借入れ後に年収300万に下がって支払いが苦しくなって場合に、おまとめすることで金利と毎月の支払額を下げる事ができます。
※3社に借りていた時の金利はそれぞれ17.8~18.0%で、おまとめ時に120万の限度額がついた場合の金利は15.0%以下となります。
まとめ
・総量規制の対象は貸金業者のみ
・年収の3分の1の借入れすることが出来ない
・個人の利益が確保できる場合は3分1以上の借入れできる